土地のご相談

不動産登記について

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「不動産登記」は大きく分けて二つの種類があります。

一つは「表示に関する登記」。もう一つは「権利に関する登記」です。「表示に関する登記」は不動産(土地・建物)の物理的状況、例えば土地であれば、どこに、どれくらいの広さで、どのように利用されている土地があるのかを明確にするための登記であり、「土地家屋調査士」がこれを扱います。

「権利に関する登記」は不動産(土地・建物)に関する各種権利、例えば、所有権、抵当権、地上権などの保存、設定、移転、変更、 処分の制限又は消滅を公示するための登記です。同じ登記ですが、こちらは「司法書士」がこれを扱います。

このように、同じ不動産登記でも「表示に関する登記」と「権利に関する登記」では別々の資格者が取り扱います。

さて、土地家屋調査士が扱う「表示に関する登記」は、さらに「土地に関する登記」と「建物に関する登記」に分かれます。

あなたの土地に境界標はありますか?

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土地は、買ったり、相続したり、また贈与されたりして、自分のものになります。 多くの人は、土地の権利証を手にするまでは、何かと気配りをされますが、その後の管理についてはあまり気をつけられていないようです。権利証があるから、図面があるから、登記をしているから安心と思い込みがちではないでしょうか。土地の管理には、まず境界がはっきりしていることが必要です。

あなたの土地には、境界をはっきりと示す標識(しるし)がありますか?

自分の土地は自分で管理することが原則ですが、たとえば境界を示す杭がなかったり、せっかくあった杭を動かしてしまったりして、どこからどこまでが自分のものかはっきりしていなかったら、管理するどころか、土地を自由に使うこともできません。場合によっては境界をめぐるいさかいの原因ともなりかねません。

まずは、ご自分の土地に、杭などの境界を示す標識(しるし)があるかどうか、それが簡単には動かないようになっているか確認してみてください。

境界標のあれこれ

コンクリート杭

■ コンクリート杭

一般的に永続性のある境界標として最も多く使用されています。


石杭

■ 石杭

御影石や花崗岩などでできた境界標で美しくて堅く最も優れた永続性があります。


プラスチック杭

■ プラスチック杭

加工が簡単なため、様々な形状のものがあります。軽くて安易に設置することができますが、コンクリート杭や石杭のような永続性はありません。

木杭

■ 木杭

サイズは様々ですが1~2年程度で腐食しますので耐久性に欠けます。仮杭又は一時的な杭として使用します。


金属鋲

■ 金属鋲

金属製の境界標でコンクリートやブロックの側壁などにドリルで穴をあけ、金属鋲を打ち込み固定します。


金属標

■ 金属標

真鍮(しんちゅう)、ステンレス又はアルミ等でできたプレート状の標識でアンカーピンを設置することで堅牢に設置することができます。

境界標がなくて困った事例

事例・1

お隣さんとの境に木造の古い板塀がありました。10年ほど前に腐食が激しいので撤去しました。

ところが、最近になってお隣さんが、フェンスの垣根を作りました。以前は、直線であったのですが、私の敷地に越境しているようなので改善するよう申し入れましたが、対応してくれません。

そこで、航空写真を取り寄せ、昔は直線であったことを主張していますが、一向に解決いたしません。

板塀を取り壊す前に、境を確認して境界標を設置しておけばと、悔やんでいます。

事例・2

お隣さんとの境に境界の目印として父の代からけやきの木が植えてあり、お互いに、この木を中心に何の不安もなく敷地を利用してきました。

家の建替えを機に境界標の設置を考え、お隣さんに立会いをお願いしたところ、「けやきの木は、境界より6尺下がって植えたのだから境界はそちら側に6尺寄ったところにある」と主張されました。

当時を知る父はすでに他界しています。今となっては、けやきの木を植える前の境界はどこだったのか知るすべがありません。

境が決まらないので、いまだに家も建て替えられないで困っています。 境界は樹木のようなものではあてにならないことが、身にしみて分かりました。

事例・3

昨年、父が亡くなり相続財産の分割をするため、畑の分筆登記が必要になりました。

分筆登記には、お隣の土地との境界の立会、確認をしなければなりませんが、私は、会社勤めで畑のことはよく分からず、また、生前父から畑の境界について特に聞いていませんでした。

お隣さんとの境界立会に関して自信がなく、父が生きている間に聞いておけばよかったと悔いが残り、悲しい思いをしました。

境界は、自分で分かっているだけでは十分ではなく、永続性のある境界標を設置することで世代が変わっても対応できるようにしておく必要があることがよく分かりました。

事例・4

家の新築をするため、境界の立会いをお願いしたところ、3軒の方は、快く応じてくれましたが、残りの北側の家では、私が家を建築すると日影になるため、なかなか応じてくれません。

境界のことで仲たがいして、一生お隣さんと付き合いがうまくいかないことになるとは、夢にも思っていませんでした。

こんなことなら早く境界標を設置しておけばよかったと、情けなく思う日々です。

後悔先に立たずとはよく言ったものですね。

事例・5

市役所から、「道路の境界を明示するから立ち会ってほしい」という通知を受けとりました。

当日立会いをしたところ、市の担当者から「お宅の塀が道路に出ています。」と指摘されました。

土地を取得した際、境界標があり、それにそって塀を作ったはずだと主張しましたが、市の担当者は取り合ってくれませんでした。

10年前の道路工事の際に撤去された可能性があります。せっかく設置してあった境界標を管理していなかったために、とんでもないことになったことを反省しています。

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